ラミネート型リチウムイオン電池(Li-ion)

 NECラミリオンエナジー社がハイブリッドカーや電気自動車向けに開発したラミネート型のリチウムイオン電池(※)は、自動車分野での要求に応えるため以下のような特徴を持っています。

 ※現在は日産とNECの合弁会社であるオートモーティブエナジーサプライ株式会社に事業移管されています。

特徴

  • 急速充電が可能(15分で容量の80%が充電できる)
  • 薄型で軽量のため、シートやトランクルームの下などに設置可能

 これらの特徴を実現するために採用された技術的ポイントが2つあります。

ラミネートパッケージの採用

 急速充電のためには大電流を流せる必要があり、そのためには、電気抵抗が低く、熱を逃がしやすい構造が求められます。
 そのため、厚さ9mm程度の扁平型のパッケージを採用し、円筒形のパッケージよりも抵抗を低くするとともに、表面積を広くすることで放熱性を高めています。
 また、パッケージの外装をアルミラミネート加工としたことにより、軽量化もあわせて実現しています。

ラミネート型リチウムイオン電池
写真提供:NEC

正極の原料にマンガンを採用

 過充電状態でも結晶構造が変化しないため、熱暴走の危険が少なく安全性の高いスピンネル構造のLiMnOを正極板に採用することで、急速充電と安全性を両立させています。
 リチウムイオン電池の極板でも紹介している、スピンネル構造のLiMnOの弱点であった高温での劣化については、劣化を抑制する添加材を加えて克服しています。
 また、マンガンはコバルトやニッケルと比較して、資源埋蔵量が多く、材料価格も安定していることから、正極板へのマンガンの採用は製品コストの引き下げにも寄与しています。

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