亜鉛-塩素二次電池
亜鉛-塩素二次電池は、その名の通り正極活物質として塩素を用いる亜鉛-ハロゲン二次電池の一種です。
亜鉛-ハロゲン二次電池は酸化力の強いハロゲン元素を正極に用いるため、高い電圧を得ることができるなどの利点を持っています。
また、亜鉛-ハロゲン二次電池は下の構造の項目でも記載しているように、電解液を循環させて充放電反応を行う循環式の二次電池で、このような構造はレドックスフロー電池などにも見られるものです。
構造
亜鉛-塩素二次電池は、充放電反応が発生する部分(セル)の他に、電極反応に用いる活物質を貯めておく貯蔵槽を外部に持っており、充放電反応の進行に従い活物質がポンプなどで貯蔵槽からセルに供給される仕組みになっています。
なお、負極、正極、電解質として以下のような物質が用いられています。
- 負極活物質:亜鉛
- 負極電解液:塩化亜鉛水溶液
- 正極活物質:塩素
- 正極電解液:塩酸
長所
亜鉛-塩素二次電池は以下のような長所を持っています。
- 単セル電圧が約2.1Vと高い
- 理論エネルギー密度が高い
- 使用材料が比較的安価
- 貯蔵槽の増減により容量の調節が可能
- 水溶液電解液を用い常温稼働するため安全性が高い
課題
亜鉛-塩素二次電池の実用化に向けての課題や短所には以下のようなものがあります。
- 現段階で達成しているエネルギー密度が低い
- 循環用ポンプなどが必要で小型化が困難
- 活物質、電解液が共に腐食性が高く使用できる構造材に制限がある