亜鉛-空気二次電池
亜鉛-空気二次電池は、正極活物質として空気中の酸素を用いる金属-空気二次電池の一種で、その名称は負極活物質に亜鉛(Zn)を用いることに由来します。
金属-空気二次電池の最大の特徴は、リチウム-空気二次電池のページでも紹介した通り、セル外の空気中から酸素を内部に取り込んで使用するため、正極活物質をセル内に準備する必要がない点にあります。
このことは正極活物質をセル内に保持することで発生する体積、重量がなくなることを意味しており、一般的な二次電池と比較して、体積密度、重量密度の両面で有利となります。
亜鉛-空気二次電池は、金属-空気二次電池の中でも最も活発に研究が進められてきた二次電池のひとつです。
構造
現在研究の進められている亜鉛-空気二次電池では、負極、正極、電解質として以下のような物質が用いられています。
- 負極活物質:亜鉛
- 正極活物質:酸素
- 電解質:アルカリ電解液など
長所
亜鉛-空気二次電池の長所は1.3kWh/kgという高い理論エネルギー密度です。
この亜鉛-空気二次電池の理論エネルギー密度は、現在実用化されている二次電池の中で最も高い理論エネルギー密度をもつリチウムイオン電池の約2倍に相当します。
また負極活物質である亜鉛の資源量が豊富で安価なため、レアメタルであるリチウムを使用するリチウム-空気二次電池など比較して安価で製造できる点も、亜鉛-空気二次電池の長所と言えます。
課題
亜鉛-空気二次電池の充放電サイクル寿命や出力密度を改善して、実用するためには以下のような課題を解決する必要があります。
- 充放電反応の繰り返しによる樹枝状析出を起こさない亜鉛極の開発
- 放電(酸素の還元)と充電(酸素の発生)の繰り返しに耐えうる触媒の開発