ナトリウム硫黄(NAS)電池
ナトリウム硫黄(NAS)電池は、日本ガイシと東京電力の共同開発により2003年に世界で初めて量産化された大型の電力貯蔵用電池の一種であり、以下の様な特徴を持っています
構造
負極:
金属ナトリウム
正極:
硫黄
電解質:
セラミック
特徴
- エネルギー密度が鉛蓄電池の約3倍と高い
- 電解質のイオン電導性を保つため約300℃の高温で動作する。
- 電解質が個体のため自己放電が無く、充電効率が高い。
- 期待寿命が15年以上と長寿命である。
- 完全密閉が可能で、ガスの排出が無い。
- メンテナンス性が高い。
ナトリウム硫黄(NAS)電池の火災事故について
日本ガイシが製造し、三菱マテリアル株式会社筑波製作所に設置されている、東京電力所有の電力貯蔵用NAS電池において2011年9月21日に火災事故が発生しました。
この火災は、同年10月5日午後3時25分に鎮火したことが消防当局により確認されています。
NAS電池は出荷を開始して以来、世界6カ国に合計174カ所、30万5千キロワットが設置されており、設置済みNAS電池の火災事故は2010年2月に1件、2011年9月21日に火災事故を起こしたNAS電池とは異なる特殊なタイプで発生していました。
ナトリウム硫黄(NAS)電池の火災事故の原因と安全強化対策について
上記火災の発生後、日本ガイシでは、事故原因の究明と再発防止策の検討を行う間、NAS電池の生産を中断し、さらに安全に万全を期すため、顧客に対してNAS電池の運転停止を依頼依頼していましたが、2012年6月7日に以下の様な事故原因と、安全強化対策を発表しNAS電池工場(愛知県小牧市)の操業を再開しました。
火災の原因
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NAS電池システムを構成するモジュール電池40台のうち1台(単電池384本収納)に製造不良の単電池が1本あり、その単電池が破壊して高温の溶融物が流出した。
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溶融物がモジュール電池内のブロック間にある砂層を越えて流出し、隣接するブロックにある単電池との間で短絡(ショート)が発生した。
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短絡した単電池間にヒューズが設置されていなかったため、短絡電流が継続的に流れて発熱したことで多数の単電池が破壊して火災が発生し、当該モジュール電池全体に延焼拡大した。
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当該モジュール電池1台の燃焼により、火炎と高温の溶融物が上段と下段に設置されていた他のモジュール電池内の単電池容器を溶解させ、さらに延焼拡大した。
安全強化対策
1)モジュール電池の延焼防止対策
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短絡電流による火災の発生を防止するため、モジュール電池内の単電池間にヒューズを追加する。
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流出した溶融物による短絡電流の発生を防止するため、モジュール電池内のブロック間を隔てる短絡防止板を設置する。
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他のモジュール電池への延焼拡大を防止するため、上下のモジュール電池の間に延焼防止板を設置する。
2)その他の安全強化対策
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火災発生を早期に発見するための監視体制の強化
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火災発生に備えた消火設備と防火備品の設置および消火体制の整備
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火災発生に備えた避難経路の策定と誘導体制の整備