電力貯蔵用電池
一般に電力需要は1日のうちで昼間が最も大きくなり、夜間が最も小さくなります。
また季節間で見ても、夏場の需要が最も大きく、その他の季節は需要が減少します。
このように電力需要が変動するので、電力会社は電力不足を発生させないために、電力需要が最大となる「夏の昼間」の電力需要をまかなうだけの発電・送電設備を確保する必要があります。
しかし、電力需要の少ない時期の電力を貯蔵し、電力が多く必要な時期に使用することで電力需要の平均化ができれば、発電設備の規模を小さくすることができ、設備の効率的な運用が可能となります。
このような対策を「電力需要の平準化」とよびます。
自然エネルギーを利用した発電でも重要
太陽光発電や風力発電のような自然エネルギーを利用した発電は、CO2を排出することなく電気エネルギーを生み出すことができ、今後の社会の発展への寄与が非常に期待されています。
しかしながら、発電量が日射量や風の強さなどの気象条件に左右され安定しないという問題を抱えているため、その利用を促進するためにも電力貯蔵用電池などの電力貯蔵技術を用いて発電量を平準化することが今後ますます重要となってきます。
電力需要平準化のための電力貯蔵技術
電力需要の平準化の手法として実用化されている主な電力貯蔵技術には、次のようなものがあります。
揚水発電
余剰電力を利用しポンプで水を高い所に揚げておき、電力需要の高まった時にその水を利用して水力発電をおこなうもの。
圧縮空気エネルギー貯蔵
気密性の高い岩塩採掘跡なとの空洞に、余剰電力で空気を圧縮しエネルギーとして貯蔵しておいて、昼間に取り出してガスタービンで発電するもの。
フライホイールエネルギー貯蔵
余剰電力で大きな回転体を回し、電気エネルギーを運動エネルギーに変換して貯蔵しておくもの。
電力貯蔵用電池
ナトリウム硫黄(NAS)電池、レドックスフロー電池などの二次電池で電力を蓄えておくもの。
キャパシ夕、超電導電力貯蔵
電力貯蔵用電池の化学的な方法による電力貯蔵に対して、物理的な方法による蓄電方法を利用するもの。