ボルタ電池の発明

 ボルタ電池はイタリアの物理学者ボルタが、「ガルパノ電池」の原理としてガルバーニが唱えた、「生物の体内に電気があるから」という説への反論として作成した、「ボルタ電堆(でんたい)」を発展させることで作り上げたものです。

ボルタ電堆とは

 ボルタ電堆は、銅板と亜鉛板の間に塩水を浸みこませた紙をはさんで重ねたもので、ボルタはこのボルタ電堆から電気を取り出すことで、生物の体内でなくても、2種類の異なる金属が電導性の液体(塩水)に接触させると電位差が生じることを証明し、ガルパ一二の説を否定しました。

 また、この鋼板・紙・亜鉛板の組み合わせを重ねると電圧が上がることも、あわせて証明しています。

ボルタ電池の特徴

 ボルタはボルタ電堆を発展させ、1800年に銅と亜鉛を希硫酸に入れた「ボルタ電池」を発明しました。
 この、ボルタ電池が世界で最初に化学反応から電気を取り出した、化学電池の元祖と言われています。

ボルタ電池の反応

 ボルタ電池では亜鉛板が負極、銅板が正極となり、希硫酸が電解液となります。
 負極では、亜鉛が電解液中にイオンとなって溶け出す際に電子を放出します。
 この電子が銅線を通して銅板へ流れ、銅板上で電解液中の水素イオンと結合し水素を発生させることで電流が発生します。
 それぞれの極板上での反応式は以下の通りです。
 負極: Zn → Zn2+ + 2e
 正極: 2H + 2e → H

ボルタ電池の欠点

 ボルタ電池には以下のような欠点がありました。

  • 分極(※)により、電圧がすぐに低下する。
  • 寿命が約1時間程度と短い。
  • 電解液が危険な硫酸である。

 ※分極:正極で発生した水素が極板表面に付着し、極板と電解液の接触面積が低下し電圧が低下する現象

このページの先頭へ