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NEC、高電圧・長寿命を実現した次世代マンガン系リチウムイオン二次電池を開発
NECは、マンガン系リチウムイオン二次電池の高電圧動作を実現する正極と、高電圧動作時の安定性を向上した電解液を開発し、電池を試作したと発表した。
この成果は、将来の電気自動車の航続距離延伸や、電池の軽量化に貢献するものとなる。
NECは現在、埋蔵量が豊富で安価なマンガンを正極に採用したリチウムイオン二次電池を開発・生産し、電気自動車や家庭用などの大容量蓄電池に搭載されている。
しかし、重量当たりの容量(エネルギー密度)が低く、この点が課題となっていた。NECでは、この課題の解決に向けて、電池の高電圧化や、それにより正極の表面で発生する電解液の酸化分解を抑制する電解液の開発を進めていた。
今回開発された正極と電解液により、電池の安全性を維持しながら、エネルギー密度を約30%向上し、大容量化・軽量化を実現した。これにより、電気自動車の航続距離の延伸、蓄電システムの軽量化、セル数の低減によるバッテリーシステム管理の簡易化などに貢献することができる。
また、高電圧駆動ながら、従来の4V系リチウムイオン二次電池と同等の長寿命も実現している。
今回開発された電池の特長は、次のとおり。
- 高電圧・安全性の高い正極を開発し、電池の大容量・軽量化を実現
- 新電解液を開発し、高電圧動作でも長寿命の電池を実現
NECが従来から採用している、充電時の安全性が高いスピネル構造のマンガン系正極について、材料の一部をニッケルに置換することで高電圧動作を実現。この正極と黒鉛負極を用いることで、平均動作電圧を従来の約3.8Vから約4.5Vに高電圧化。これによりエネルギー密度を約150Wh/kgから200Wh/kg以上と約30%向上。同じ重量の電池では蓄積エネルギーを約30%向上する一方、同じ蓄積エネルギーの電池では重量を約30%低減。
電解液の溶媒を、従来のカーボネート系から、耐酸化性の高いフッ素化溶媒に変更。これにより従来の課題だった、正極と電解液の界面で発生する酸化分解を抑制。室温下(20℃)において500回の満充放電サイクル試験後で初期容量の約80%、高温下(45℃)において約60%と、従来の4V系電池と同等の寿命特性を実現。また、セル内部のガス発生を抑制し、高温下でのサイクル試験後の電池の膨れ率を、従来の2倍以上から約10%と大幅に低減し、実用性を向上。
なお、この成果は、10月7日(日)から12日(金)まで、米国・ハワイ(ホノルル)で開催される、電気化学に関する国際学会「PRiME2012」において、9日に発表される予定となっている。